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中国有機生薬の話

日本の方々が漢方や生薬と聞いたら、おそらく体に効く健康イメージが湧くのでしょう。

確かに、野生の生薬なら、生物多様性に恵まれた野原や林に自生し、生息に適した環境で育っているため、病気もなく、虫もあまり付かずにすくすくと生育しています。
大自然の恵みともいえる生薬の薬効も良く、人間の健康維持にいい成分をたっぷり含んでいます。但し、野生の生薬は量が少なく、漢方薬市場において必要とされる量を賄えないので、生薬の人工栽培は大分前から行われています。

単一品種、大面積生産になると、元々一定の忌避効果を持つ生薬も病虫害に罹りやすくなり、化学農薬が普通の野菜栽培と同じように撒かれることになります。典型的なのが皆良く目にするクコの実です。
中国の北西地方はクコの一大産地で、延々とクコ畑が続いています。
大量生産するクコは根腐れ病などの病気やウリバエ、アブラムシ、ダニ等何種類の虫に罹りやすく、化学農薬の使用は当たり前のことです。
ここ数年、人々の食物の安全性への関心が益々高まっている背景のなかで、一部の生産業者はクコの有機栽培を始め、既に中国基準の有機認証を取得しています。
現地の政府系の農業技術サポート部門は有機クコの栽培規程を公表して、栽培技術の規範化を図っています。

クコ1


クコ2


現在、中国では約50社の生産企業(注)が有機生薬の生産を行い、有機生薬は100種類位があります。
栽培品目はクコ、杜仲(とちゅう)、白芍薬(しゃくやく)、丹参(タンジン)、天痲(テンマ)、刺五加(エゾウコギ)、五味子(ゴミシ)、金銀花(きんぎんか)、雪蓮(セツレン)、甘草(カンゾウ)、朝鮮人参、西洋ニンジン、甜菊(デンギク)、田七人参、紅花、鎖陽(さよう)、サージ(沙棘)、銀杏、桑などがあげられます。
このうちの一部は健康維持や強壮を目的に中国の人々が日常的に服用しているものが含まれており、EU規準の有機認証が取得されて、輸出されているものもあります。国内外の市場ニーズに従い、益々有機栽培の規模、アイテム数が増加していくと思われます。


注: WTO加盟後中国では農業の生産性を上げる為に、農業生産への企業参入を薦める体制があります。コストが掛かり、生産の規範化を要求する有機認証を取るのには企業によるものが殆どです。


(胡杰)


2011.12.09 13:01 | 世界のオーガニック情報 | トラックバック(0) | コメント(1) |