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季節の養生法と有機農業

私が上海で使っている携帯電話に、生活情報配信サービスがあります。
毎日主なニュースの他に、天気予報や季節に応じた生活習慣及び健康につながる食べ物に関することなどが配信されます。春になることにつれ、次のようなメールが来ました。

『春は冷暖交替が激しく、食性が温性の食べ物を摂食したらよい。鶏肉は脾を暖めて気を補い、五臓によく、虚損を補う働きがあり、体の虚弱による無気力感を緩和させ、免疫力を調整する効果がある。』

『乾燥していた冬に代わって、春には雨が多く、環境中の湿度が高まるにつれ、人間体内の湿度も高まる。この季節には山芋、薏米(ハトムギの実)を多めに摂食したら健脾排湿の効果がある。山芋、ハトムギの実、ハスの実、ナツメ(乾物)、ヒエと一緒に煮込んでお粥にする。お粥ができたら少々の砂糖を入れ、味を調えて出来上がり。山芋とハトムギの実は何れも美白効果があり、女性がよく食べたらよい。』


このようなメールが来て、日常の暮らしや健康管理に役立っています。


これらの生活習慣と健康に関する情報配信の多くは中国伝統医学(中医学)の経典である【皇帝内経】の理論に基づいたものです。
二千年余り前の漢の時代に書かれた人体のメカニズム、健康と季節環境の関係、病気の由来などに関する理論は未だに人々の健康維持に活躍しています。

金、水、木、火、土, 曜日に似ていますが、曜日でなく、中医学でいう五行のことです。
古代中国の人はこの五つの物質が宇宙の基本要素と認識し、人間の体もまた一つの小宇宙と捉えます。
五行は体の臓器と次のように対応します。
  金→肺/大腸
  水→腎/膀胱
  木→肝/胆
  火→心/小腸
  土→胃/膵

中医学でいう臓器は西洋医学の解剖学上の臓器よりもこれらの臓器の大まかな機能のことを現わす意味合いが多い。
土と対応する胃と脾臓に注目して頂きたい。この二つは消化、つまり食物を人間が吸収できる栄養物質にする役割です。

これは自然を良く観察してできた素朴な理論だと思いませんか。
土の中で有機物質が分解され、植物が利用できる栄養が作られており、有機栽培が成り立つのはまさしくこの土の威力から来るものではないでしょうか。


五行の理論では相生相剋もあり、つまり金は水を生み、水は木を生み、木は火を生み、火は土を生みという関係と、金は木を剋、木は土を剋、土は水を剋、水は火を剋、火は金を剋というような相互関係があります。

五行説ではまた、四つの季節と人間身体の関係を次のように関係付けています。
  春(旧暦1~3月)→肝
  夏(旧暦4~6月)→心
  長夏(旧暦6月)→胃
  秋(旧暦7~9月)→肺
  冬(旧暦10~12月)→腎

春には植物(木)が冬から蘇生し、木が対応する臓器は肝なので、春には肝臓の働きが一番活発。
肝機能をメンテしようとすれば、この春に肝臓の健康管理が大事。

【皇帝内経】の教えでは、春に早寝(夏は早起き遅寝)早起きして庭でゆったりした衣装を着てゆっくり散歩し、気分を穏やかにします。肝臓は喜びの感情により機能が向上し、怒りは肝機能に障害をもたらす。
皇帝内経の教えは短期的にできたものでなく、古代中国の賢人達が長い歳月にわたり自然、自然と人間の体の関係をじっくり観察、吟味して得た人間の健康や病気に関する知識の纏めです。

病気の治療に関しても、西洋医学のように薬や抗生物質をもって菌やウィルスを殺すような発想でなく、先ずは体の調子を整え、人間自身の免疫力を高め、次に、病気となる条件を無くすようにして治療するわけです。
典型的な例として、2004年に中国で猛威を振ったSARSの治療に当たっては、SARSウィルス治療の特効薬がなかったので、西洋医学のあらゆる手が尽くされていた上、漢方薬も治療に使われていたのです。
中医学ではこの怪病に関する認識として、春に発生する疫病は気温が暖かくなり、雨が多く降るようになって、環境中でも、人間の体内でも湿度が高くなって、疫病になるものの生息環境ができたため発病したと捉え、治療方法ももっぱら体内の湿を除去する生薬と人間自身の免疫力を高めるものと組み合わせた処方で治療に臨み、一定の効果をあげたそうです。


中国伝統医学の病気治療への考え方は有機農業でも同じ理屈だと言えるのでしょう。
害虫や病気が発生してから対処療法的に防除するのではなく、最初から病虫害の発生をさせず、健康な作物を作るのにはどうしたらいいかと考えるのです。
これはまさに作物の養生学とも言えるものです。
人間にしても植物にしても、健康が損われるのには似たような部分があり(もちろん、人間はもっと複雑です)、環境が壊れれば、同じ環境にいる私たち人間もまた植物も病に罹りやすくなります。
故に、我々は環境、人間、動物、植物、微生物などをトータルに意識して、有機的な心をもって、有機的生産をし、有機的な生活を送ることが望ましいといえるでしょう。

2012.04.10 14:25 | 世界のオーガニック情報 | トラックバック(0) | コメント(0) |

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